労務管理に役立つ情報2

普通解雇について

法律では、解雇に関して、次のとおり定められています。

 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」

つまり、解雇をするには、

 1.まず、解雇する理由があること

 2.そして、理由があった上で、解雇をすることが社会的にみて妥当であること

が必要です。


解雇が有効か無効か判断するのは、裁判所だけです。労働基準監督署が判断するわけではありません。裁判所は、その案件ごとに解雇の有効無効を判断します。よって、解雇が有効なのかどうかは、裁判にならない限りは分かりません。

一般的には不当な解雇ではないかと思われるケースでも、労働者が訴えない限りは、結果としては有効な解雇であったと考えることができます。ただ、裁判等の争いになりますと、時間もお金もかかるわけですから、そのようなことにならによう、これまでの類似事件の裁判例を参考に解雇するかどうかを判断することは、とても大事です。

実際最近は、裁判ではありませんが、労働審判という裁判と調停の間のような制度(裁判ほど時間もお金もかからない)を利用する労働者が急増しています。

また、ユニオン等の個人で加入できる労働組合に加入して、組合が会社に団体交渉を申し入れて争いになるケースも急増しています。このケースの場合、金銭解決になることが多いので、多額の解決金を支払うことになる可能性があります。



裁判等になったとしても、解雇は有効であると堂々主張できるようにするにはどう対応すれば良いかということを見ていきます。

解雇には、普通解雇懲戒解雇があります。前者は、労働者の債務不履行(成果、能力、態度、健康が当初の約束違反)を理由とする解雇で、後者は、労働者の重大な企業秩序違反行為に対する制裁罰としての解雇です。

普通解雇は、就業規則に規定がなくても解雇することができますが、懲戒解雇は、就業規則に解雇事由の記載がないとできません。また、普通解雇と懲戒解雇では、解雇が有効と判断されるのに求められるハードルが違います。(懲戒解雇のほうが高い。)


普通解雇に該当する事由としては、次のものがあります。

 ・仕事で成果を上げることができない。

 ・能力が会社が求めていたものに足りない。

 ・ケガ、病気できちんと働けない。

 ・協調性がなく、円滑に仕事することができない。

 ・遅刻、早退、欠勤が多い。

 ・勤務態度が悪い、職場の秩序を乱す。


労働者を解雇した際に、裁判所が何に着目して有効・無効を判断しているか。

 ・会社の規模

 ・労働者の職務内容

 ・採用した理由、経緯

 ・勤務成績、勤務態度不良の程度、その回数

 ・改善の余地があるか

 ・会社が注意、指導、教育を十分したか


普通解雇するときのチェックポイント

・約束違反か否か

・規律違反か否か

・就業規則の普通解雇事由に該当しているか(普通解雇は、就業規則に記載されていなくてもできますが、従業員に「解雇されるなんて知らなかった」と言わせないために記載しておいたほうが良い。)

・解雇することに社会的相当性はあるか

  改善の機会を与えたか (注意・指導・教育を十分したか)

  業務上の支障の程度は (解雇以外の手段(異動等)はないか)


以上をすべてクリアしていれば、普通解雇は有効となる可能性が高くなります。

懲戒解雇について

懲戒解雇とは、懲戒処分の一種で、重大な企業秩序違反行為に対する制裁罰としての解雇をいいます。懲戒解雇された労働者は、その後の就職において履歴書の賞罰欄に記載する必要があるため、再就職が難しくなります。

懲戒処分するには、就業規則懲戒事由と懲戒の種類などを記載し、入社時に就業規則を提示して、労働者から就業規則を遵守する旨の誓約書を取っておくことが必要です。

懲戒処分には、けん責、減給、出勤停止、降格、懲戒解雇などがあります。


懲戒解雇を法的に有効とするためのポイント

重大な企業秩序違反行為があったか。

 例えば、会社の金銭を横領した、重要な機密事項を漏洩し会社に損害を与えたなど。

◎従業員の行為が、就業規則に規定した懲戒解雇事由に該当しているか。

 ただ、該当しているだけではなく、会社から放逐しなければならないほど該当しているか。

◎従業員に弁明の機会を与えたか。

 労働組合と協議する規定がある場合は、協議を尽くしたか。

◎懲戒解雇することは、社会的にみて妥当であるか。懲戒権の濫用にならないか。

 ・行為の原因、動機、性質、結果

 ・故意または過失の程度

 ・職責、貢献度、処分歴

 ・反省の程度

 ・他の従業員への影響

 ・会社のダメージ

◎一つの懲戒行為に対して、二度の懲戒処分を科すことはできません。

 同じ程度の懲戒行為に対して、違う懲戒処分を科すことはできません。

 事後に懲戒事由を定めて、遡及的に懲戒処分を科すことはできません。

 

のちに法的トラブルにならないようにするためには、懲戒解雇が有効と判断される可能性が高い場合でも、実務的には、本人と話をして退職届を提出してもらい、自己都合(または会社都合)という形で合意退職してもらうほうが良いです。そうすることで、裁判等の法的紛争、合同労働組合への駆け込み加入などの法的トラブルになるリスクを減らすことができます。

解雇に伴うリスクを、いかに回避するかが重要です。紛争になりますと、弁護士費用などの様々な費用や、それに対応する自社社員の時間などのコストが発生してしまいます。懲戒解雇は、最後の手段であると認識しておいてください。

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